今回は方程式についての基本的な定理となる『代数学の基本定理』を解説します。
代数学の基本定理は、数学における重要な概念の一つであり、特に方程式を解く際に欠かせない定理です。「代数方程式には必ず解が存在する」と聞くと、難しそうに感じるかもしれませんが、この定理は実は複素数を理解する上での基本的なステップでもあります。この記事では、複素数とは何か、そして代数学の基本定理がどのように方程式の解に関わるのかを、初心者でもわかりやすく解説します。
今回は代数学の基本定理についてお勉強しよう!
代数学の基本定理とは
今回は方程式についての基本的な定理となる『代数学の基本定理』についてお勉強していきましょう。
代数学の基本定理とは、複素数で定義された代数方程式に関する定理です。
代数学の基本定理はドイツの数学者ガウスが1799年が学位論文で初めて証明しました。
代数学の基本定理(Fundamental Theorem of Algebra)
任意の複素数係数のn次方程式は複素数の範囲で重解を含めてn個の解を持つ。
すなわち、任意の
$$a_{n},a_{n-1},・・・,a_0 \in \mathbb{C}, a_{n}\neq 0$$に対して$$a_{n}x^{n}+・・・+a_{1}x+a_{o}=0$$は複素数の範囲で重解を含めてn個の解を持つ。
任意の方程式には必ず複素数解が存在するということが代数学の基本定理の核心です。
代数学の基本定理の例
具体的な例を考えてみましょう。例えば、次の二次方程式を見てみます。
$$x^{2}+1=0$$この方程式の解は、実数では求めることができません。しかし、代数学の基本定理によって、解が複素数として存在することが保証されます。この方程式の解は、以下のようになります。$$x=\pm i$$ここで、\(i\) は虚数単位と呼ばれ、 \(i^{2}=-1\)を満たす数です。このように、代数学の基本定理により、解が複素数として存在することがわかります。
次に一般の2次方程式を考えてみましょう。
a≠0のとき2次方程式
$$ax^{2}+bx+c=0$$
の解は
$$x=\frac{-b \pm \sqrt{ b^{2} -4ac} }{2a}$$
で与えられる。つまり、2次方程式は複素数まで考えると重解を含めて2つの解が存在します。
2次方程式の解の求め方についてはこちらの記事をご覧ください。
代数学の基本定理の使い方
解を実際に求めずに解の個数が何個あるのかを知りたい場合、代数学の基本定理を使いましょう。
それでは例題を見てみましょう。
例題
複素数a,b,cに対して
$$a+\frac{1}{a}=b+\frac{1}{b}=c+\frac{1}{c}$$
が成り立つとき、a,b,cのうち少なくとも2つの値は一致することを証明せよ。
ヒント
$$a+\frac{1}{a}=b+\frac{1}{b}=c+\frac{1}{c}=k$$
としてa,b,cに関する方程式を作ってみましょう。そして代数学の基本定理をもちろん使用します。
解答
$$a+\frac{1}{a}=b+\frac{1}{b}=c+\frac{1}{c}=k$$
と置く。整理すると、
$$a^{2}-ka+1=0$$
$$b^{2}-kb+1=0$$
$$c^{2}-kc+1=0$$
となる。ここで
$$x^{2}-kx+1=0$$
を考えると、a,b,cは解となっている。代数学の基本定理より2次方程式の解は高々2つなのでa,b,cのうち少なくとも2つの値は一致する。(証明終了)
まとめ
今回は方程式についての基本的な定理となる『代数学の基本定理』についてお勉強しました。代数学の基本定理は、数学における重要な概念であり、複素数を含む代数方程式の解の存在を保証するものです。ぜひ覚えておきましょう。
代数学の基本定理(Fundamental Theorem of Algebra)
任意の複素数係数のn次方程式は複素数の範囲で重解を含めてn個の解を持つ。
すなわち、任意の
$$a_{n},a_{n-1},・・・,a_0 \in \mathbb{C}, a_{n}\neq 0$$に対して$$a_{n}x^{n}+・・・+a_{1}x+a_{o}=0$$は複素数の範囲で重解を含めてn個の解を持つ。
今回は代数学の基本定理についてお勉強したよ!